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都岳連 2001年度レスキューリーダー養成講座III
「冬山のセルフレスキュー」受講報告


Date: 2002.2.19/23-24
Members: 吉田(法)
Area: 谷川
Type: 講習会

2002.2.19 19:00〜21:00 机上講習@オリンピック記念青少年センター
2002.2.23-24 実技講習@土合山の家付近

●雪質観察
積もった雪で、弱層となる五つの雪質は以下の5種類。
(1)新雪 (雲粒なしの降雪結晶(いわゆる「雪印」))
(2)しもざらめ雪 (ハイマツ帯などのザクザクした雪)
(3)濡れざらめ雪 (腐ったような灰色の雪)
(4)表面霜 (晴れた朝にキラキラ光る雪面)
(5)あられ (ベアリング)

●弱層テスト
荷重が伝わる深さに弱層があるかどうかを調べる。
荷重が伝わるのは、靴の底から 50〜60cm 程度 (雪面からではない)。
(a)ハンドテスト
休憩時間や行動中向き。鉛直方向に掘る。力を加える順序は、
1) 手首の力で、表面から底
2) ひじの力で、表面から底
3) 肩の力で、表面から底
弱層のせん断方向へのテスト。客観性低い。
(b)コンプレッションテスト(スコップポンポンテスト)
最近普及。ハンドテストより客観性が高い。
25cm×30cm×70cm 程度の雪の柱を作って、スコップで叩く。
叩くと弱層が潰れて、空気が抜けたり、弱層で雪がズッと滑る。
弱層そのものの存在テスト。
(c)バーブテスト
カナダで使われているコンプレッションテストの亜流。
新雪をどけてからテストする。
(d)その他
- 着色液(メチレンブルー) + バーナー
- はけ(ブラッシング)

●雪庇
庇状に張り出した部分が降雪で埋まり、表面的に分からなくなる。
内部に大量に空間を含むので、弱く危険。雪洞を掘る際、注意。

●捜索
リーダは一歩下がって、誰がどこで何をやっているか把握する。
二次雪崩を警戒し、見張りを立てる。
事前に避難経路を全員で確認しておき、二次雪崩発生時には作業を中断して逃げる。
ゾンデ、スコップを流さないように注意しながら作業。

●ビーコン
ビーコンは胸の脇の方へ装着。うつ伏せで埋まると体が電波を妨害する。
リチウム電池→長持ちだが、ドロップ(電圧降下)が早い。

近づいてきたらビーコンを雪面に近づける。
2m 以内になったら場所は移動せず、ビーコンを雪面で滑らせて探す。
最後はアナログもデジタルも直角法。できるだけ絞ってからゾンデを刺す。
(最近のビーコンなら 10cm×10cm ぐらいまで絞れる)

複数捜索の時はアークサーチ。手順は以下。
(1) とにかく一人目を発見。
(2) 2個受信するまでレンジを上げる。
(3) 一人目から 3m 離れる。
(4) 2個目を見失うまでレンジを下げる。
(5) 一人目の位置を中心に半径 3m の円周を、一人目の方にビーコンを向けつつ回る。
(6) 円周のどこかで二個目を受信するはず。その方向へ進む。
できれば一人目発見後ビーコンを停止させたいが、二次雪崩のリスクもあるし、
スイッチオフの時間ももったいないので、アークサーチを習得する必要あり。

●ゾンデ(プローブ)
携帯ゾンデは、ビーコンとペアで使うことが前提。
構えから両手を離すと、鉛直方向に刺さる。
人間に突き当たるとプヨプヨした感触。ブーツやスコップだとカツカツ。
発見したらゾンデは刺したままにしておいて掘る。埋没深を見る。

●発見後の処置
事故者は寒冷障害の可能性。ヤル気を無くし自力で対策をせずに凍死につながる。生存者を発見しても、すぐには掘り出さない。
- 頭の位置を確認。
- 呼吸空間の確保。
- 雪の中は暖かい。10cm 程度をフトンとして残す。
- 外気に当てないよう、露出部分にツェルトをかぶせながら雪を除去。
- 意識の確認。必要なら心肺蘇生。
- マッサージをしてはいけない。四肢で冷えた血液が急激に心臓に流れ込んでしまう。
救急法 (最近手順が変わったらしい)
(1)周囲確認
(2)大量出血有無確認→圧迫して止血
(3)呼びかけ 目・眉の辺りを観察
(4)無意識なら吹き込み
あれば異物除去 気道確保して背中を 4〜5回叩く
(5)呼吸・体動のチェック
(6)心臓マッサージ 15:2
- 事故者は血圧が低下している
- 事故者収容用に、テント・雪洞・スノーマウンテンを準備。
スノーマウンテン=緊急用簡易カマクラ
20分程度で二人用が作成できて、なかなか便利そう。
ザックを 5〜6個山型に積んで、雪を 30cm の厚みにかぶせる。
表面に凹凸があると弱くなるので、できるだけ滑らかにする。
下の方から掘り、ザックを抜き、室内を加工する。
- 中で湯を沸かし加温加湿。湯たんぽも有効。
- シュラフを暖めておく。

●安全地帯への搬送
外気に当てないようにツェルトで覆いながら雪を退ける。
掘り出し終えたら、ツェルトでスッポリ覆う。顔も覆うと暖かい。
ヒューマンチェーンで搬送。片膝立ちは、膝を直角では無くZ字型に。
手でチェーンを作らず、オーバーグローブなどを渡して握る。
足を持つのは適当でもいい。その代わり頭をしっかり支える。

●搬送
ツェルト・銀マット・ザックの順に敷き、シュラフに入れた事故者を載せる。
銀マットは、保温面が青。頭も覆えるように二枚あると良い。
靴は履かせたまま。ただし紐は緩める。
サングラス等も危ないので、一声かけて外す。常に声をかける。
足先が冷えるのでフリース等で靴ごと包む。
スリングで簡易ハーネスを付け、長めのスリングを出しておく。
両手・両足を軽くテーピングで止める(あくまで軽く)。
シュラフに入れる。横を裂いてでも入れる。
腰と膝の後ろにクッションを入れると事故者は楽。
ツェルトで梱包。ただしツェルトは単なるシェルであり、保温効果は無し。
ビナ・スリング球・雪球などで脛・腰・肩の上の位置にアンカーを作る。
アンカーは、クローブヒッチで、地表近くに緩み無く作る。
クローブヒッチは、他の人に作ってもらい、手渡ししてもらうと良い。
スリングの結び目がなるべく根元に来るように。
シートベントで左右を結ぶ。その後、縦も結ぶ。首のところはV字になるように。
頭の上と足先にもアンカーを作る。
頭の支点に、事故者のセルフビレイを余裕を持たせてつなぐ(バックアップ用)。
10m 補助ロープで、周囲を弛み無く結ぶ。
支点に持ち手を付ける。
メインロープ末端には、変形8ノットと8ノットを作っておき、
頭部と両肩の三点から流動分散してメインロープにつなぐ

デイジーチェーンがあると搬送が楽。
- 雪面を滑らせるときは長めに。
- 事故者を持ち上げるときは短めに。
梱包をしっかりすると、事故者は傾斜を感じないらしい。

●プルアップシステム
1/6プルアップシステムを作ったが、いまいち理解し切れなかった。
ガーダヒッチ(ガルダーヒッチ)は、荷揚げ向き。
摩擦が大きいので、人間のアップシステムには向かない。
下降はスタンディングアックスビレイで行った。
ロープの残りに気をつけながらスムーズに出す。

●支点
+ スノーバー
雪が硬くても柔らかくても、山の部分が谷に向くように(V字状に)セット。
への字状だと雪面を剥ぎ取ってしまうためだとか。
雪がもっと柔らかい時には、スノーバーを横にして埋める。
埋めるときはスリングをT字状ではなく、両サイド2点から伸ばす。
+ スノーボラート
+ 土嚢袋(!)・ロープケース
すべて荷重が下向きにかかるようにセットする。
またスリングを長めにとる。

感想

とにかく内容がテンコ盛りで大変。次から次へとテクニカルタームが飛び出す。必死にメモを取っていると、受験生時代の予備校の授業を思い出した。写真もいっぱい撮ってきたので、参考までにホームページに載せます。実際問題、一回教わっただけでは全然ダメだと思うので、山行中に時間を見つけて復習したいところです。帰りは、CRUX の方と一緒に、絶品おこのみやのマイタケ丼セット(今回は並盛。食前酒を呑みすぎたから)を食べ、会社の保養所の風呂に入り、車で川越まで送ってもらいました。多謝。感謝。