谷川連峰 茂倉新道
Date: 2002.4.6-7
Members: L.安藤
Area: 上越
Type: 個人/雪一般
4/5
車にて田町発。初めから関越道は論外、国道17号をひたすら下る。 東の海上へ去る低気圧の影響で、まだ北寄りの風やや強い。 土合駅では見覚えのある顔ぶれが宴会をしていた。酒の席に弱いはずの豊岡君から宴会に呼ばれた時は驚いた。彼も大人になったのだ。
更にその輪の中にポニーテールのO女史を発見。雪の白毛門〜巻機山を単独縦走した人に対して、今度は中年山岳同人の結成を呼びかけるが、毎度の如くやんわり断られた。
20:30田町--25:15土合(27:30就寝)
4/6 晴れのち雨
朝起きると予測より早く風が止んでいて少し焦る。間もなく風向きが変わり天気は崩れるだろう。列車を待つ時間がもどかしい。 誰もいない486段の階段を降り、8:30発上越線下り列車で土樽へ。
土樽に着いてやっと行動開始。遠くに茂倉岳が鈍く光っていた。尾根に取り付くとわずかなトレースしかなく、終始キックステップで登る。 ルートは尾根伝いなので明瞭だ。途中ブナ平でカモシカに遭遇。一人だと毛むくじゃらは何でもクマに見えてしまう。樹林帯のヤセ尾根は、木の根が多くて歩きづらいうえ、大きな雪庇もあって気が抜けない。
1218mピーク付近からは、予想通り雪庇と逆方向の南風が吹き出す。 矢場の頭はすでに森林限界上。肩の小屋から仙ノ倉山にかけての国境稜線がよく望見できる。しかし長時間のキックステップが効いたのか膝痛
再発。茂倉岳から風の唸る音も激しく聞こえ出す。 耐風姿勢を繰り返して登り続けるも、1683mピーク付近にて突風にあお られ雪庇上に弾き出される。あやうく踏み抜くところだった。その際左足が灌木に絡まり、痛めていた膝を更にひねる。
それでも今回は珍しく登高意欲は薄れない。あと一時間も頑張れば茂倉避難小屋だが、次第に風の止み間が無くなりつつあり、今後更なる天候悪化も予想されることから、今のうちに安全地帯まで一旦撤退と判断。
尾根上は雪洞を掘れるだけの積雪も安定した幕営地もなく、カモシカに遭遇したブナ平(1000m付近)まで下降。まずは気象通報で天気図を とる。正午時点で「釜山雨強シ」。雪を整地して幕営。万太郎山の鶏冠状岩峰群が、前穂北尾根をゴジラにすれば四つ足のガメラのようで精悍。
静かな林間の自分だけに許された一夜城は至上の贅沢。 陽が落ちてから温かい雨が降り始める。既製食品で済ませる夕飯は、味が濃すぎる。アッと言う間にワイン500ml消費。21時を過ぎた頃、猛烈な風がステレオのように尾根の両側から吹き付けてきた。
2-3人用にスリムな美少年が1人きりなので、風でテントが浮いてコンロが転倒してしまった。火事になるかと思った。防風のスノーブロックを点検・修復して就寝。
8:40土樽--10:00〜15 P972--11:20〜35 P1218--12:30〜45矢場 の頭--13:35-50
P1683付近--15:55ブナ平(幕営)
4/7 雨のち晴れ
5:30、キツツキのトントントンで起こされる。風雨共に収まりつつあるが下山と決定。朝食後撤収。雨に雪が洗われたのだろうか、テントのすぐ脇には、設営時に無かったはずの鹿の糞が落ちていた。土樽駅までの道のりは、道路一杯に溢れた雪解け水が道端のフキノトウを潤していたり、肌寒い曇天の下でもどこか温もりや湿気のある風を感じたりと、これぞ春山の風物詩をゆっくり味わう。魚野川には解禁前から釣りをしてる人がいた。
8:25発の上越線上り乗車。日本海側には早くも青空。越後側の雲は終始高かったのに、土合で下車すると上州側の白毛門と西黒尾根には陰惨な霧がかかっていた。
またまた国道17号で帰る。水上以南は快晴。それは谷川での常套句。山里では集落の中心にある一本の桜の下に村のお年寄り達が集まって、残雪の山々を背景に茶碗酒でお花見を楽しんでいた。そんな一般道ならではの田舎の風景をのんびりと堪能しながら帰宅。月夜野で仕入れた利根の地酒と山菜で、ささやかだが充実の下山祝いをする。
6:40ブナ平--7:50土樽
まとめ
客観的成果とはうらはらに、自分なりの春山合宿気分を充分に楽しめた 満足のいく山行でした。 特に今回、東の海上に去って行く低気圧と、春特有の日本海低気圧の接近に伴う気圧配置との駆け引きを楽しみながら行動出来ました。具体的には双方の均衡がとれた一瞬が、週末のチャンスだと思いました。実際には予想が半日ずれ、山にいる間だけ悪天候というタイミングの悪い結果になりましたが、そんな経験も山の常。せめてもう3時間早く歩き出せたらと思うも、交通事情がそれを許しませんでした。そしてあの程度の風で行動出来ないのは、そもそも自分の未熟さゆえでしょう。
ところで、元々一人で山をやっていた人はともかく、入会してから登山を始めた人は、一通りの経験をしたら次は単独行をお勧めします。 ルート選定に始まって装備の取捨選択、読図力、天候判断、幕営生活等、
前後左右天地内面に至るまで、すべてを自らが引き受けるということは周囲から見る以上に本人にとって大冒険=大事件となるでしょう。 本来、山は自分自身で登るものだから、山と一対一で向き合えばおのずと自分と向き合う結果にもなり、仲間との山行ばかりだと、ともすれば退化しがちな部分も単独行は補ってくれる気がします。
そうして山に対して謙虚になれることで、次の仲間との山行にも有形無形で活かせるものが増えるのだと思っています。