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一ノ倉沢烏帽子沢奥壁凹状岩壁
一ノ倉沢衝立岩中央稜

Date: 2002.7.27-28
Members: 吉田(法)、秋田、勝山
Area: 谷川
Type: 個人/バリ

7/27 谷川岳・一ノ倉沢烏帽子沢奥壁凹状岩壁
L.吉田、秋田
4:00起床
5:00一ノ倉沢出合
6:35取りつき
7:00登攀開始
11:20登攀終了
14:30一ノ倉岳
15:20谷川岳
17:35マチガ沢出合

凹状 1ピッチ目を
登る秋田君

滝沢スラブ
2ルンゼから先も見える

凹状終了点にて

同じく終了点
まだ元気

7/28谷川岳・一ノ倉沢衝立岩中央稜
L.秋田、勝山
4時起床。
5時10分発テールリッジ経由中央稜取付き。雪渓の崩落は進んでいた。
6時45分。1ピッチ目、秋田さんリード。取付き。
7時02分。2ピッチ目。勝山リード。ここで、ピッチ終了点を間違え、クライムダウンしてトラバース。多分20分ほどロス。
7時40分。秋田さんリード。3ピッチ目。
おそらくここで、ちょっと短めにピッチを切った。20メートル。
7時52分。勝山リード。4ピッチ目前半。チムニーの前でピッチを切る。
8時18分。4ピッチ後半分。秋田さんリード。チムニーの左のフェースを登る。
8時44分。5ピッチ目。勝山リード。
9時05分。6ピッチ目。秋田さんリード。ピナクル直前でピッチを切り、勝山リードで6ピッチ終了。
9時47分。100メートルのルンゼと草付き凹状部を二ピッチに分けて登る。
10時30分。終了点。
さらにそこから高みを目指して登って、11時、岩頭。
歩けるところは歩き、6ピッチ目の上部から懸垂して、13時取付き点へ戻る。


感想

勝山
今日も、調子が出ない。体から元気がわいてこない。これも前夜の飲み会のためだろうか。
先週に続けて、飲み会を途中退席しての谷川岳、車をぶっ飛ばして向かう。

0時40分。谷川岳ふもと。湯桧曽駅着。前日から山に入っていた吉田さん、秋田さん、神保さん、豊岡さんはすでに寝ていた。4人の思い思いの格好を見ていると前日の山行も大変だったんだなあと分かる。特に神保さんは寝袋もかぶらず、マットも半分たたんだまま寝ていた。

4時起床。少し寝た。調子は相変わらず悪い。
この調子のでなさは始めて谷川岳に来た7月の最初と同じだ。あの時は朝から雨が降っていて、登ることが信じられない状況だった。

出発。この時点で吉田さんは今回は辞退することを知る。最近の慣れない革靴勤務で爪をおかしくしたとのこと。秋田さんとつるべで登ることになる。
テールリッジ。夏の暑さのため、さらに崩壊が進んでいる。生暖かい風が風が非常に気持ち悪い。
めがねが曇り、下が見えないまま進む。

中央稜。一応衝立て岩に分類されている。三級。前々からの疲れもあり、今回は、この入門ルート。

しかし、時間がかかった。コースタイムで登れない。
途中、間違えたのが原因か。あと、ロープワークの習熟が必要なのだろう。
これから、デイジーチェーンに付けたカラビナは環付きじゃない普通のやつにしよう。

中央稜。眺めは最高。テラスも快適。隣りでは神保さん、豊岡さんパーティが変形チムニーを登っているのが良く見える。あっちは人が多そうだ。こっちは全然人がいない。あっちの方が高度を稼いでいて負けていられないと頑張って登るけど、中々追いつかなかった。もともと高さが違うのでしようがないのに張り合ってしまった。

懸垂下降は楽しかった。

終ってお好み屋で飯を食べる。
オススメのスタミナ冷麺は量が少なく、味もそれほどではなかった。

帰りの車内で神保さんに眠たくならない丸秘テクを教わる。

秋田
ベートーベンをぶっ飛ばせ。

消防車が登場する。山行記録に消防車はなかなかでてこないだろうから、記してやろう。宮村さん、相関さん、金久保さんも喜ぶだろう。そんなわけない。しかし、こいつはまったく邪魔である。

吉田さんは「俺が最初」と言った。別にそれでも良いけど、核心をやってみたいと思っていたから別に良いけど、あっさり答えすぎ。神保さんは圧倒的な存在感がある。最重要人物。軍団長。神様。豊岡さんは僕や勝山さん以上にすごいことを言う。オフレコ?ハッシュハッシュ。

4人で出発。テールリッジ下の雪渓は崩壊がかなり進んでいる。信用できない。怖い。怖いことばかり。なんでこんなことをやっているのだろう。なんでこんなことになってしまったのだろう。僕は綺麗な雪山に登りたかっただけだったのに。僕は一人でボーっと自然の中を歩くのが好きなだけだったのに。早くこんなことやめちまいたい。でもやめられないんだろうなあ。いやだなあ。例えば、バイオリンとかピアノとか、もっと僕に似合うものを趣味にしたかったなあ。まあいいけど。無意味な後悔は無意味だ。

神保さんのためにフィックスを張る。僕と吉田さんは先を急ぐ。

と、ここで巨大なゴキブリが袖からあがる。いいから引っ込んでろ。あ、でもこいつなんか弱っている。逃げようとしない。

凹状岩壁。最初の2Pは先週登った中央カンテと重複する。余裕。未知のゾーンへ。核心部。俺がリード。くっそー吉田さんメ。技術的にはそれほど難しくはない。しかし、谷川は何しろ岩自体が信用できない。乾いていないし。ん、俺自身を信用できないから?全くそうだ。ダイカンで墜落して以来、怖くて仕方ない。慎重になったのは良いことかもしれないが、スピードが犠牲になった。5マイナー。この辺がいいところ。4プラス。これならなんとか行ける。それにしても岩がボロい。畜生メ。登攀終了。よし。コップ状を覗く。1パーティー登っている。俺たちはもう登り終えたからな、まあせいぜい気をつけろよ。ま、これも一応エール。2ルンゼを見る。その上部を見る。こうなっているのか。先週登ったところがよく分かる。やはりBルンゼを登っていたのだ。

烏帽子沢奥壁のてっぺんから進む。先を行く吉田さんが詰まる。ロープを出す。なんだよ、あぶねーじゃねーか。A0するところすらある。ルートだけが危険なのではない。その前後も危険。一体俺は危険とか、恐怖とか、何度同じ言葉を使うのだろう。イヤだなあ。一ノ倉岳を目指す。また1Pロープを出す。先週同じ箇所を通過した時、リードした勝山さんはハーケンに全然気づかなかったが、意外と多い。

暑い。乾く。

清水峠が見える。ここは3度目だが、清水峠まで臨めたのは初めて。

一ノ倉岳到着。つかれたー。まだまだあるぞ。谷川岳へ。吉田さんの独り言が聞こえる。んー疲労困憊。吉田さんは俺以上に参っているよう。吉田さんは「粉」と言った。吉田さんの比喩は時々わけがわからない。俺は用意した水2.5リットルを全て呑みつくす。乾き。チックショー。下りってのは全くうぜーな。

谷川岳ピークまで行くと本当に吸い取られるよな。

吉田さんより先に下りたので一ノ倉沢出合まで行く。駐車場には豊岡さんと神保さんがいた。妙にうれしい。楽しい。吉田さんの待つマチガ沢出合へ。

NTTの風呂。空いているし綺麗。谷川ラーメン参上!!おこのみやと勝負。野菜炒め定食。すごいボリューム。メシはこうでなくちゃ。俺は学生の頃、朝メシにおにぎりを8個食べていた。

水上が熱い。

花火だ。きれいだなあ。うれしいなあ。花火ってのは最高だなあ。コンビニの軒先で、だらしなく地べたに座り、花火を見る。神保さん、寝るなよ。これから毎年7月最終週は谷川に行こう。湯檜曽駅。みんなソッコーで寝る。軍団長は靴を履いたまま。吉田さんと乾杯。

深夜、勝山さん登場。主人公。挨拶して、悪いけどすぐに寝させてもらう。

吉田さんは辞退。お陰で俺もリードすることに。あまり気が進まない。まあいいか。


前日と同じ。ただし、雪が昨日と比べてもかなり減っている。やっぱ雪渓歩きは怖い。あ、また「怖い」なんて使ってしまった。

中央稜。衝立岩に挨拶しよう。勝山さん。

2P目。なんだよ、難しいじゃないか、ルーファイも難しいじゃないか。

核心の4P。勝山さんは途中でPを切る。俺は間違えではない判断だと思う。先週のラストのピッチでの経験があるので二人とも慎重。へたくそにはへたくそなりの安全な登りかたがあるのだ。文句あるか。で、後半は俺が受け持つ。チムニーではなく俺はフェイスを選ぶ。怖い。あ。登りかた自体は簡単だが、何しろ岩が。衝立岩のてっぺんまで登る。そこから懸垂下降。楽チン楽チン。ただ一度不注意をやらかしてしまった。猛省。懸垂下降、楽なのはいいが、ロープを回収できるかとても不安。また、落石をやってしまった。これも反省。仮固定を2回使った。

さあ下ろう。テールリッジの末端までは順調に。しかし、雪渓が。今朝からさらに崩壊が進んでいる。消えるならさっさと消えちまえ。慎重に下る。最後は登山道ではなく沢沿いにくだる。気持ちいい。

吉田さんお待たせしました。
やがて豊岡Pもみんなとりあえず元気。

おこのみや、くそったれ。俺はサービスの悪い店は嫌いだ。ビールを呑めなかったのが残念だとは思わなかった。

吉田(法)
なんとも醜態を晒した山行だった。秋田君には愛想を尽かれてしまったんじゃないか。

先週よりもさらに雪渓が少なくなり、さらに難しくなったテールリッジをたどって取り付きへ。秋田君とツルベの 1ピッチ目は先行予約の吉田(法)でスタート。相変わらずボロボロだ。慎重に登る。4ピッチ目、いよいよ核心部。秋田君リード。文字通り凹状のフェース。あらゆるホールドがグラグラして、そのぶん遠くのホールドまで射程距離に入れて手足を動かす。5ピッチ目、直上するチムニー状にするか、その右のフェースにするか迷ったが、面白そうなチムニー状を登った。多分ハズレ。ちょっと難しい。その後にハングの切れ目を越える。このピッチは岩がしっかりしてて楽しかった。6ピッチ目、緊張する細かいフェースと楽しいレイバック。7ピッチ目、草付きを登ってからクラックの前まで。最後にランナウトして怖い。そして最終ピッチ、秋田君リードでクラックを越える。フォローだから「うおりゃ〜」とレイバック。爽快。そして終了点へ。面白いルートだった。また行きたい。ただし北稜下降で。

ドラマはここからだ。最近慣れない革靴通勤が続いたためか、登っているうちから両足の両親指が痛くて、ほとんど爪先が使えなかったが、終了点で靴を脱いで見てみると爪の中がドス黒くなっていた。痛みを堪えつつ国境稜線を目指す。ところが凹状終了点から烏帽子岩までの間が悪い。ロープを出した。日差しも強くて徐々に参ってきた。ルートファインディングもロープワークも雑になってきたのが自分でも分かる。秋田君も分かっていただろうに黙っててくれた。秋田君に先に歩いてもらう。もの凄く遠くに見える一ノ倉岳がまた精神的・肉体的にコタえる。途中休んだテラスが最高だった。足元に広がる谷・壁・雪渓。震え上がるほど圧倒的な景色。そして最後の笹薮漕ぎで駄目押し。息をするために顔を藪から上げなければならないような気持ちにさせる濃い藪を漕いで、ようやっと縦走路に飛び出た。前回のような達成感や充実感よりも、途方もない疲労感。もうココでいっぱいいっぱいだった。

果てしない下山の道。全然足が進まない。西黒尾根に入るころ日差しが弱まった。でも疲労と眠気がピーク。疲れて立ち止まると一瞬にして睡魔が襲ってくる。これはイカンとまた歩き出し無理やり目を覚ます。疲れる。止まる。眠くなる。歩く。疲れる。止まる。眠くなる。歩く……。

巌剛新道の見晴らしで休憩したときは、一瞬の気の緩みの間に夢を見た。見たことのない女の人がニッと笑って「アタシ、味噌っ歯なのよね〜」と言う夢だ。なんだそりゃ。秋田君はさぞ怖かっただろうと思う。それでもなんとかマチガ沢出合にたどりついた。とにかく疲れた。秋田君は「谷川に吸い取られた」と表現したが、それは適切だ。今回は僕が吸い取られ、カスあるいは粉になってしまった。通じないかもしれないが、心底参った。コテンパにやられた。燃え尽きた。灰になった。ボロボロだ。秋田君、どうもありがとう。

翌日、足の爪を言い訳に、中央稜はパスさせてもらった。せっかくの勝山さんの壮行山行だったのに一緒に登れなくて残念。帰ってきたらまた一緒に行きましょう。