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御前ヶ遊窟

Date: 2002.10.5-6
Members: L.安藤、吉田(千)、岡田
Area: 会越国境
Type: 個人/バリ(?)
目的:    1.下越・御神楽岳室谷ルート(一般)
            2.下越・御前ヶ遊窟(よくわからない)
            3.地産地消活動(地酒+特産物)
在京:田中
 
記録:(安藤)
10/4 
意外に早く上川PAに着くと、既にテントを張って宴会をしている山ヤがいた。我々もシートを広げて入山祝い。27:30頃、突如の雷雨に襲われ軒下に退散。磐越道は通行量が少ないので比較的よく眠れた。

(22:05お茶の水--25:45東北道〜磐越道・上川PA仮眠)

10/5 
6:30起床。晴れ。スラブが雨で濡れていると予測。先に御神楽岳に向かう。朝もやの中を津川ICから室谷へと車を走らせる。常浪川の朗々たる流れを縫う車窓からは、はざ掛けを済ませた稲穂が幾段にも高く干された米どころならではの風景を満喫できて心地よい。気のせいか寒村にも関わらず、道路が広くて走りやすく感じる。もしやこれが、かの角栄御仁の置き土産か。

室谷登山口のポストに計画書を出し、沢沿いの雑木林を緩やかに登り出す。植林の多い東京近郊の山では体験できない鮮やかな山の色に全身が包まれる。これと言って急登も危険個所もないまま大森山に至ると、栄太郎新道側が開けガスの中にスラブ群が見え隠れするようになる。雨乞峰あたりからは紅葉も盛りとなり、三角錐の山頂からは山伏の読経と法螺貝の音が聞こえてくる。頂上で缶ビールをあけ1時間近く精神を浄化する。御神楽岳が「下越の谷川岳」と呼ばれる所以でもある、湯沢源頭の大スラブ群は霧で望めない。唯一、今ごろ神谷パーティが登っているであろう会津駒ヶ岳だけが確認できた。往路をのんびり下山して山伏の白装束集団に追いつく。

PA7:00--御神楽岳室谷登山口8:05--水場9:35〜50--山頂11:10〜12:05--水場下12:50〜13:00--室谷登山口13:55

下山後、室谷から明日登る御前ヶ遊窟の登山口の棒目貫へと向かう。道すがら村の商店や物産直売所で買い出し。野菜が安くて新鮮。3軒目の商店で津川の銘酒・純米「麒麟山」を入手。まだ新しい上川村営七福荘にて入浴(500円)。登山口まで行くと、今朝PAで幕営していた中高年8人組が下山して来た所だった。小平地(水場無し)にテントを張り今山行の目的のひとつ、地産地消(地元で採れた食材を地元で消費する)活動なる夕餉を開始。しちりんとクーラーボックスとブルーシートが絶大なる効果を発揮。東京の半値以下の新鮮な食材を香ばしく焼き、千佳持参の海の幸で麒麟山を一献また一献。せせらぎと虫の音のBGM付き秋の夜長を充分に楽しむ。順当に酒一升をあけて23時就寝。

10/6 
5:30起床。今日も晴れて無風。朝食は「杉もだし」なる白いキノコの味噌汁に餅を入れて済ませる。

鍬ノ沢沿いの水平道をシジミ沢出合へと辿る。出合から見上げる朝日を浴びた3本の岩塔は、ここが日本とは思えない自然の造形美。観光地でないぶん秘境ムードは満点。岩塔の頂までは標高差約500m。遊窟はその山頂直下の岩壁に、ぽっかり大きな横穴を開けている。足まわりはトップ千佳=フェルト足袋、セカンド岡田=フラットソール、ラスト安藤=地下足袋と各自思い思い。

まず苔むしたヤブの中の岩溝を抜けると景観が開け、そこはもう一面白いスラブのまっただ中。時折クサリや虎ロープに導かれるが、ルートは判然としない。ノーザイルで行けてしまうだけに、油断していると尋常ではなくなる。

注意していたにも関わらず、かなり上部で次の一歩を見失なう。クライムダウンもままならない。しばし外傾テラスで思案の末、揺れる灌木に願を掛けてスリングを残置し、ゴボウで15m慎重に下降して無事脱出。最後はヤブの中の踏みあとを勇躍遊窟に達する。メンバー一同から感嘆の声。せめて奥州の源義経に届けとばかり、ここまで登って舞を舞って見せたという静御前の哀しい伝説に思いを馳せるのも悪くない。

ひんやりと涼しい遊窟からは、左のスラブを巻き気味に稜線へ抜けて無名岩峰の頭へ。狭い山頂は360度の大展望。周囲の山の斜面は見渡す限りスラブが点在。標高846mとは思えない物凄い高度感に肝を冷やすと同時に、己のマニアックさに酔いしれる。遊窟まで慎重に戻り、ソウケイ新道を下って「きもだめし周回コース」を無事終える。

登山口6:55--シジミ沢出合8:30〜45--遊窟10:30〜45--846m峰11:05〜15--遊窟12:00--ソウケイ新道550m峰12:55〜13:05--タツミ沢出合13:40〜55--登山口14:30
(入浴・物産直売所を経て、16:30磐越道・津川IC--21:30頃東京着)

感想

吉田千佳子)
とても楽しい山行だった。低山ながら高度感を充分堪能し、夜の食事もおいしかった(夜はすぐに寝てしまったのが不覚でしたが・・)。今回の山行で、もっとルートの見つけ方を学ばなければならないと痛感した。それにはやっぱりちょっとした時間を見つけては山に行くことなのかな?

岡田務)
*御神楽岳=ダラダラ登りにだらだら下りのラクチンコース。上の紅葉は見事なものでした。サングラスをかけたり、スパッツをした山伏にも会えたし。ただ、岩壁がガスに隠れて見えなかったのが残念。
*夜=柳鰈・槍烏賊・猪茸・獅子唐・玉葱・蛸入りすり身団子・糸南瓜と茗荷の漬物&麒麟山な夜でした。
*御前ヶ遊窟=とっても迫力あるスラブ。クライミングシューズで登ったので楽だったけど、ルートを間違えて下ることになると大変でした。ノーザイルのプレッシャー。下から見上げる岩塔群は素晴らしい。山行中、全く人に会わず静かな山旅でした。

安藤啓一)
「行ったきりなら幸せになるがいい〜、戻る気になりゃいつでもおいでよ〜(沢田研二)」などと、"いい人"ぶっていられないのがスラブ登りの醍醐味です。例えばシティークライマー(超古典的表現)のA君でも、ノーザイルでペタペタ行けちゃうからって調子に乗ると、ルートを間違えて行き詰まる。ふと足下を振り返ると、高度感満点の滑り台が遙か下方の出合まで、東京タワー以上の標高差で一気に続いている。そこで初めて置かれている立場に気付いてパニックに陥るのです。ロープに身を預けるアンカーも無いし「母ちゃ〜ん!」といくら泣いたってダメ!の絶対絶命・・・。

そういう自分も下山して2日なのに、既に数回そんな状況から奈落へ墜ちて行く悪夢にうなされてしまい、げっそり。それでもきっとまた出掛けてしまうなんて、やっぱり根本が大バカ者なんですかね。

もはやクライマーを含む登山者も、所詮は観光客の概念に組み込まれた感のある昨今。越後の山は遠いし低いしマイナーだけど、山も谷も里の情も深く、静かなる怪峰やスラブも無数にあるので、創造的登山を自己責任で楽しめそうなのは大きな魅力です。この地で糸カボチャの栽培が出来たらいいな。そんな思いにさせてくれた山行でした。これからは「地酒で山を選ぶ山行」を増やしたいと思います(なんだか会の主旨からはますます離れる一方ですね)。