三伏山
Date: 2003.10.12
Members: L.安藤、他4名
Area: 南ア
Type: 個人/ハイキング
天候:曇時々小雨
記録:
飯田5:00=松川町=大鹿村=鳥倉林道終点6:35--登山口7:15〜20--三伏峠10:35〜45--三伏山10:55〜11:05--お花畑経
由三伏峠11:35〜50--登山口14:00〜05--鳥倉林道終点14:45=往路を経て飯田16:00
感想
あのなぁ。南信州イーダの農家通いも、そろそろ都合100日になろうとしとるんな。そ
れだもんで恩義も一宿一飯どころの騒ぎじゃねぇら。もはや立派な居候ずら。でな。いっとう最初にお邪魔した時から、ここのおかみさんのF子さんには「山へ
連れてってくれぇ、連れてってくれ」っちゅってせがまれてはおったんだがな。オラァはもともと農作業の勉強が目的で来とるもんで、ここへ来てまで山に登る
なんて愚かな行為はへぇ、それこそ無駄に一日を過ごすようでな。どうも気が向かなかったんだに。
ところが去年な。干し柿作りを手伝いに来たら畑のすぐ前での家におるS子さんもちょうど手伝いに来とって、オラァと行き逢ったんな。そこでオラァが東京の
山岳会におると聞きつけたS子さんが「そりゃあいい話じゃん!ワタシもは〜るか前から一度はサンプクトーゲに行きたいと思っとったんな。そいじゃあ東京の
"アンちゃ"に連れてってもらうまいか!」っちゅって焚き付けたもんでな。おかげでそれからイーダに行くたんびに「山はいつ行きますの?」っちゅって二人
に迫られとったんな(なぜかいっつも歳上にばかりモテるが、別にオラァは"氷川きよし"じゃないに)。だもんでへぇ、ようやく1年たって「これも田舎の衆
とのお付き合いってもんずら」っちゅうことで、オラァもいよいよハラを決めてな。50代のF子さんと60代のS子さんにそれぞれのご主人も加わって、4人
のガイド役に祭り上げられて日本最高所の"峠"へ出掛けたんな。
しっかし南アルプスっちゅうのはホ〜ント、エライ山深いところだで実は気に入っとるんな。伊那谷を隔てた風越山麓にある標高600mのリンゴ畑からだっ
て、その主稜線はほんのちょびっとしか見えんで。なにせ前でにゃ伊那山地がどっしり構えとるもんで、アプローチだけでもひと苦労ずら。ようやく辿り着いた
大鹿村じゃ信号がひとっつもねぇのが自慢だに。そして無形文化財にも指定されとる"大鹿歌舞伎"もこの19日に開かれるんな。そりゃあ静かで素朴なところ
だで。それに比べりゃイーダなんちゅうのは、やっぱエライ大都会だら。
オラァも三伏峠へは冬に2度ほど行っとるが、雪のない時期は初めてだったもんでな。歩きやすい山道は紅葉も素敵で時には薄日もさして、は〜るか谷底の部落
も見下ろすことが出来たで。みなさん歓声をあげとったに。なかでもやっぱ女衆は元気でな。休憩したってものの1分と経たんうちに「そいじゃ、行くまいか」
ちゅってスタコラ登りだすんな。男衆はゆっくりタバコも吸っちゃおれんくて、付いて行くのがやっとのようでな。オラァはそれ見てたまらず苦笑しとったに。
しかしさすがに2615mの三伏峠まで来たら、霧が深くてさぶくもなって来てな。小屋番のオイさまに勧められて、冷たい風のぴゅーぴゅー吹く森林限界上の
三伏山まで登ってみちゃおったが、何もかもが真っ白で塩見岳も見えんかったに。まぁ降水確率70%でそこまで山に求めるのも贅沢っちゅうもんずら。南アル
プス主稜線の一角に立ってハイマツの高山気分も味わってな。みなさんへぇ、それだけでもう感激しとったのが何よりだったに。なにしろ標高は高いし秋の陽は
短いし天気予報は良くないしで、そこへ来てオラァ以外はロクなカッパも地図も懐中電灯も持っとらん、装備面では危険を絵に描いたような集団だもんで、内心
はヒヤヒヤしとったんだがな。何とかお天気ももってくれたで。ホント、おかげだったに。いやぁ、おかげだったよぉ...。
っちゅうワケで無事にイーダへ帰り着いて、ひと風呂浴びて夕餉の時間になったんな。そこでお疲れのご主人と一献やりながら、"これでようやくオラァも義理
を果たしたぜヨ"と深く深く安堵の胸をなで下ろしとったんだに。そしたらな。いつもはせわしなく動き回って落ち着かないF子さんなんだが、珍しく箸を止め
てしば〜らく山の地図に見入っとったと思ったら、突然真顔でオラァにこう言ったんな。
「安藤さん、これじゃ次は塩見まで行かにゃならんな! でなけりゃ仙丈かな。またお願いするで。いつにしますの?」
つづく...