松手山~平標山
Date: 2004.4.10
Members: L.安藤
Area: 谷川
Type: 雪一般
タイム:
元橋7:10--松手山9:45--平標山11:15~45--平標山の家12:
10~13:00--元橋14:25
紀行文:
前夜、5日前の雪辱を果たすべく、性懲りもなく一般道で川古ゲートへ。いつも通り無人で静か。先週の天幕場跡がまだくっきり。今回は一人なので少々寂し
くなる。尾根の向こうから月が昇ってきた。炭坑節を唄って辛口一献。
4/10。5時起床。快晴。起きあがって驚き。先週は確かにあった赤谷川対岸の残雪が消滅している。ここから直接オゼノ尾根は見えないが、見渡す限り周
辺の上部山腹に雪は無い。日曜日の雨以来、ずっと好天続きだったのが裏目に出た。雪の小出俣山は、既に先週の土曜日で終わっていたんだな。季節との微妙な
駆け引きに敗れるのも、その山やルートに執着すればこそ。そういう場所のひとつやふたつ持っている人間の方が、熱いものは冷めにくいだろう。
今回は残雪を踏んで登るのが目的。だから強行にヤブこぎしてまで小出俣山を陥としたところで何の価値もない。釣りなら外道ってところ。来季は早めに訪れ
ることを誓って、この場は平標山~仙ノ倉山へ転戦と決める。
早朝の三国峠越え。国土(破壊)計画グループが生んだリゾート施設に一瞥を喰らわしながら登山口の元橋へ。駐車場は既に登山者で賑わっていた。この時点
でかなり萎える。
まず松手山へ登るべく2.5万図片手に尾根に取り付くも、それはすでに廃道だった。エアリアを見たらしっかり別の尾根から「新道」があるではないか。面
倒なのでそのまま2級程度のヤブを1時間ばかり急登して高距300mを稼ぎ、鉄塔下で正規登山道に出る。稜線通しの道を分厚い雪庇が重塊となって覆ってお
り、その上をキックステップで快適に進む。この程度ならアイゼンを使わず、膝下の振り子を効かせて小気味良く登りたい。キックステップが上手か下手かは、
これから夏にかけての堅雪斜面(雪渓)を歩けば一目瞭然だ。所々で典型的な全層雪崩の汚れた斜面を見る。
森林限界を超えた松手山の頂きに立つと、眼前に平標山が優しく大きく迎えてくれる(あぁ、抱かれたい...)。が、こういうタラタラ道を行くのはどうも
疲れる。別にイヤじゃないんだ。むしろたおやかな山稜にボケーッと佇んでいる時間は大好きなくらいで、その環境や景色があまりにも長閑だと、それだけで充
分満足してしまい、もう動きたくなくなるのだ。「何もこれ以上前に進まなくても(上に登らなくても)いいじゃんか」という想いと、自ら企てた山行計画を覆
すことが許せなくて、いつもバカバカしいまでの葛藤を生んでしまう。
どうやら純粋に「登る」行為に関しては、やはり石尊稜の雪壁をノーザイルでアイゼンの前爪だけ効かせながら、早く安全地帯にたどり着きたくて追い立てら
れるようになりふり構わず必死で登ってる方が、妙な高揚感(クライマーズ・ハイ?)を得られるには違いない。それもまた自虐的で滑稽だが...。
だからしてこんな稜線漫歩こそ、特に山頂にはこだわらずとも良い。標準タイムなんかお構い無しでようやく平標山に到着。さすがは国境稜線、なかなかの眺
望。目前の深緑の丘が仙ノ倉山。そして2月に単独でラッセルした荒沢山が、いかにも土樽駅の裏山らしく遥か下方に黒々と鎮座しており、振り返れば苗場山の
頂上台地が逆に純白の巨大な航空母艦のよう。
松手山からの登山者が少ないので静かな山頂を期待していたら、平標山の家方面から腐れ雪にアイゼン姿の、人生の先輩方が続々と登って来るではないか。そ
れを見て無線でCQを出す気が失せた。
いつも冬に行きたいと思ってる仙ノ倉北尾根もとりあえずここから偵察できたし、騒々しくならないうちに眼下の大雪原を山の家へと下ろう。下りながら左前
方に険しく切れ込んだ小出俣山北面を確認。上部はしっかり雪が付いていたが、オゼノ尾根は裏の南面だからきっとヤブこぎで終わっただろうと自分を納得させ
る。
山の家(閉鎖中)前でしばし昼寝。この辺は山スキー天国らしい。みんな楽しそう。僕は「ヤマよりもヒト」が面白くて山岳会にいるような動機不純者(たぶ
ん最初のきっかけは、新興宗教団体でも女装研究会でも良かったんだと思う)。だからこんなメジャーな雪山に単独で来たのは失敗だった。とても寂しい。下り
きった岩魚沢林道はまだ残雪が豊富で、さしずめ春の上高地散策に匹敵。気分だけでも春合宿を味わえた。
翌日は白毛門から谷川東面の景色でも眺めることにして、今週も誰もいない「こぶしの里」の大広間で午睡を貪る。荒木田に計画変更と中間報告後、土合へ移
動(湯桧曽17時の気温17度!)。先月は白一色の世界だった土合駅も、すっかり雪囲いがはずされて夏モード。登山口の駐車場も半分除雪されて汚れた雪が
山積している。これらも立派な季節の風物詩だ。明るいうちから酒飲んでさっさと寝る。
4/11。4時の起床前、ちょっと悲しい夢を見た。起きたら涙が溢れてまともに目が開けられなかった。眼球に痛みもあったので、どうやら泣いてる原因は
夢とは別で、雪盲にやられたらしい。昔からその傾向はあったので、サングラスだけは高価なものを使ってたのに・・・。「今日も良い天気だし、これで登った
らもっと悪くなって帰れなくなるかも。あ~ぁ。」濡れタオルで瞼を冷やしながら、先週に引き続き二度寝の癖がついてしまった。もうすっかり気持ちはダレ
て、ユルユルのトロトロ。
軽症なので運転はできそう。奮起して9時発。白毛門も超メジャーだし、こりゃ行かなくて正解だったかも。先週は「桜」、そして今週は涙目で沿道の「菜の
花」見物をしながら一般道で帰る。それにしてもなんで涙と鼻水は、いつだって1セットなんだろう。まったく始末が悪いや。カモシカスポーツに寄って「いま
だ下山せず!」(泉康子/著・宝島社)を探すも、既に文庫も絶版となったらしくここにも置いてなかった。
好天のわりには運動不足。おまけに2日間とも毒々しいコンビニ食に甘んじていたため、身体じゅうに蓄積された添加物や脂肪分が代謝し切れていないようで
気持ち悪い。薬味たっぷりのお豆腐・山かけ・青菜やブリ大根なんかが無性に食べたくなった。
今年も農作業研修を優先させたいので、本来一番好きな春合宿には行かれない。だからせめて今季あと一回くらいは雪にまみれたいところだが、いかんせんそ
の雪線自体が日増しに東京からどんどんと遠ざかる季節。恥ずかしながら雪を求めた散財にも限界が見えてきた。さて、どうなることやら。。。